一般社団法人は、その名称の前や後ろに「一般社団法人」という法人の形態を付けなければならないという決まりがあるため、一般社団法人の名称は通常、「〇〇一般社団法人」または「一般社団法人〇〇」と付けることになります。
また、一般社団法人の名称は定款の絶対的記載事項です。そのため、冒頭の第1条でわかりやすく規定する団体がほとんどです。
別の法人形態と紛らわしい名称は不可
公益社団法人は、公益認定を受けた法人が名乗る名称であるため、一般社団法人の名称として公益社団法人を名乗ることはできません。
同様、公益財団法人、一般財団法人、株式会社、合同会社なども、一般社団法人とは異なる法人形態を表すため、名称中に使用することができません。完全に同一ではなくとも、別の法人形態と紛らわしい名称を付けることもできませんので、「公益〇〇一般社団法人」も認められないと考えたほうがよいでしょう。
同様、既に活動中の別の一般社団法人等と紛らわしい名称も、一般社団法上禁止されており、場合によっては既存の一般社団法人から損害賠償を求められる恐れがあります。法務局やインターネットを使って、類似した名称が既に使われていないか、設立前にチェックしておきましょう。
一方、「一般社団法人〇〇議会」や「一般社団法人〇〇協会」などは、他の法人形態を誤認する恐れがないことから、ごく普通に名称として使用されています。
一般社団法人の名称に使える文字
文字数は特に制限がないはずですが、あまり長い名称を付けてしまうと、法律上の書類を作る際に長い正式名称を記載しなければならなかったり、領収証を発行してもらう際などに名称がうまく伝わらなかったりと、運営上は煩雑な事態が多くなります。
そのため、ある程度シンプルに、活動内容がわかりやすい名称を付けるのがおすすめです。
名称に使用できる文字の種類としては、ひらがな、カタカナ、漢字の他に、ローマ字、アラビア数字、一定の記号などがあります(記号は使用する場所などについて、一定の制限があります。たとえば「・」などは使用を認められた記号ですが、名称の最初や最後に付すことはできません)。
名称を他人(他の団体)に使用させた場合の責任
これは一般社団法人の名称が決まり、設立が完了した後の話になりますが、一般社団法人の名称を他人や他の団体に使用することを認めてしまうと、それを誤信して取引した人に対して、その他人(他の団体)と連帯して責任を負わざるを得なくなります。
そのため、一般社団法人を設立した後は、いつの間にか名義貸しの状態に陥らないよう、他者の名称使用(たとえばパンフレットへの表記など)の許諾等を行う際は、十分に注意してください。