一般社団法人設立の際、その法人の機関設定をどのように定めるかについては、少々悩まれる方もいらっしゃいます。
まず設立の時点で一般社団法人に最低限必要となる機関は、最終的な意思決定機関である社員総会になります。
とはいえ、一般社団法人の構成員である社員が2人以上いることが一般社団法人設立の大前提であり、社員(構成員)が2名以上いればそこに社員総会が開かれることになりますから、この機関はわざわざ設置するイメージは必要ないかもしれませんね。
一般社団法人の理事と監事
一方で、いくら社員総会が一般社団法人の最終的な意思決定機関だとはいっても、運営上のすべての決定を社員総会を開かなければ決定できないようでは、実際に一般社団法人を運営していくことが困難になってしまいます(特に、任意団体の法人化など設立時点から規模が多きな一般社団法人の場合)。
一般社団法人の理事
そのため、一般社団法人の一般的な業務を行う機関(役職)として、理事を選ぶことになります。理事は1名だけで構いませんが、2名以上を選ぶこともできます。
小さな規模の一般社団法人では、構成員である社員が2名、そのうち1名が理事となって一般社団法人の業務を行っていくというケースも非常に多いです。
ただし、構成員である社員には法人(会社)であってもなることができますが、理事になることができるのは自然人(法人以外の、いわゆる「人」)でなければなりません。
理事会
理事を3名以上設置する一般社団法人では、理事によって構成される理事会を設置することができます。理事会を設置すると、重要な業務執行については理事単独で決定できず、理事会の決議が必要になります。
理事会を設置した場合、3ヶ月に1回は理事会を開催しなければなりません。ただし、定款に一定の記載をすることによって、それ以下の回数に少なくすることは可能です。この点は、一般社団法人の設立時点においては理事が集まることができる時期・回数など、考慮して定款に盛り込んでおくほうがよいでしょう。
なお理事会を設置した一般社団法人は、次の「監事」も設置することが求められます。
一般社団法人の監事
監事は理事の業務執行や会計を監督する役割を担います。一般社団法人に監事を設置するかしないかは任意ですが、理事会を設置する場合には監事を置くことが必須となります。この際、理事3名以上で構成される理事会に対して、監事は1名でも構いません。
監事は、いわばその一般社団法人を第三者の目からしっかり監督するような立場の役職です。そのため、理事と監事を兼任することは認められていませんし、一般社団法人に従業員として雇用されている人(お給料をもらって働いている人など)も、監事になることができません。
この他に、もし一般社団法人が公益認定を受けて公益社団法人となるときにも、監事の設置は前提として求められることになります。
※数人で設立する一般社団法人では、理事を設置しても理事会は設置せず、従って監事も設置しないケースがほとんどです。
他に一般社団法人には会計監査人という役職も設置することがありますが、かなり規模の大きな法人でなければ設置することはないため、ここでは省略させていただきます。
一般社団法人の理事や監事の任期
理事、監事の任期は決まっていて、理事の場合は2年以内、監事は4年以内となっています。
理事の任期は2年以上に延ばすことができませんから、最低でも約2年に1回は、理事が就任・退任・重任したことを登記する手続きが必要になります。
一方、監事は2年まで任期を短くすることが可能ですので、理事と同じ任期に合わせて手続きの手間を少なくする一般社団法人も多いです。
理事や監事の任期については、できるだけ設立時の定款でそれぞれの任期にズレが生じないように、調整する条文を設置しておくほうが余計な手間・コストを抑えることができます。
なお、一般社団法人の機関については5つのパターンとしても紹介していますので、そちらも合わせてご参照ください。