一般社団法人における監事は、主に理事の職務の執行を監査したり、監査報告書を作成したり、法人等の業務や財産の状況を監査することを主な権限とする法人の役員です。
一般社団法人に監事を置く必要があるのか、置くべきなのか、悩まれるケースもあるようですので、ここでは一般社団法人の監事について、その権限や任期を説明していきます。
一般社団法人に監事の設置が求められるとき
まず一般社団法人を設立するにあたって、機関構成によっては監事の設置が法律上の要請となることがあります。
ごく簡単にまとめてしまうと、監事を設置しなければならないのは以下のような機関構成で設立する場合です。
- 一般社団法人に理事会を設置するとき
- 一般社団法人に会計監査人を設置するとき
設立直後に会計監査人を設置することは稀ですので、一般社団法人の設立にあたって考慮する必要があるのは、前者の「理事会を設置するとき」になります。
理事会を設置すると、その一般社団法人の大抵のことは社員総会ではなく理事会で決議することになり、法令や定款で規定されている一部の重要事項のみ社員総会で決議することになります。
理事会に広い権限を与えることで、その一般社団法人の機動性を確保するわけですが、逆に権限が理事会に集中することになりますから、それをしっかりと監査する立場としての監事を設置する必要が生じます。
任意に監事を設置することもできる
上記のほか理事会を設置しない一般社団法人にも、必要に応じて監事を設置することは可能です。
しかし設立時点において、この構成をとる法人は稀かもしれません。
また、任意に監事を設置する一般社団法人では、そもそもの監事の役割を誰かに任せるというよりも、理事ではない役職として便宜上「監事」が使われているに過ぎない(形骸化している)ケースもあるようです。
監事の任期
一般社団法人の監事の任期は約4年です。より正確には「4年以内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時社員総会の終結のときまで」が監事の任期になります。
この任期は、定款に定めることによって4年を2年まで短縮することができます。一般社団法人の設立にあたっては、理事の任期と合わせるかたちで、監事の任期も2年に揃えてしまうケースも多いですから、このあたりは検討しておくほうがよいでしょう。
法人設立の際は補欠の監事の規定を置く
一般社団法人設立にあたって、理事会を設置するなど監事の設置が求められる場合には、その監事が欠けた場合に備えて補欠の監事の規定を置いておくようにしましょう。
このような補欠の監事の規定を定款に盛り込む場合ですが、補欠の監事とそれ以外の役員・監事との任期がバラバラになってしまうことを避けるため、補欠の監事は退任した監事の任期満了のときまでと定めることが一般的です。
理事、監事の任期がバラバラになってしまうと、任期が満了した役員が現れるごとに交代したり重任したりして、そのたびに登記を変更する必要が生じ、結果として手間だけでなく登記のための登録免許税も発生してしまうためです。
一般社団法人を設立する際は、設立後に余計な手間や費用が発生してしまわないよう、定款でしっかりと調整を図っておくことが大事になります。
一般社団法人の設立後に監事の設置や監事の廃止も可能
もし一派社団法人を設立後に監事を設置する必要がなくなった等の状況に至ったときは、監事を置く旨の定款の規定を廃止することによって、機関構成を変更することが可能です。(もちろん理事会を設置している限りは監事の設置は法律上の義務となります)
逆に、監事を設置しないかたちで一般社団法人を設立して、後日に監事の必要性が生じたというケースでも、監事を置く旨の定款を新たに定めることによって機関構成を変更することができます。
とはいっても、一般社団法人の機関構成を変更することは、定款変更のための社員総会を開催する必要があったり、先ほど触れたのと同じく、その後に登記変更を行う必要も生じるなど、こちらも手間と費用が発生する手続きになります。
以上の理由から、もし設立の段階で監事設置の必要性が濃厚であれば、あらかじめ監事を設置する機関構成で定款を作成して、一般社団法人を設立するほうが無難でしょう。