法人を設立したら、すぐに法人名義での預金口座を開設したいところです。
しかし、個人名義の口座を開設する場合と違い、法人名義での口座開設は、思わぬ手間と時間がかかってしまう場合があります。
スムーズに法人の運営をスタートするためにも、下記のポイントを押さえてから手続きしましょう。
- 最寄りの支店で申し込む
- 代表者本人が行く
- 必要な書類を揃えて申し込む
- 場合によっては、他の金融期間にあたる
最寄りの支店で申し込む
口座を作りたい金融機関の本支店のうち、設立した法人の所在地(登記簿謄本に記載された所在地)に最も近いところに申し込みに行きましょう。
ちょっと離れた〇〇支店の口座を作りたいと思っても、銀行内部のルールがあり、あっさり断られてしまうでしょう。
代表者本人が行く
口座申込時には、代表者の身分証明書の確認をされたり、代表者の口から法人の事業内容の説明を求められたりします。
したがって、従業員に申し込みに行かせても、代表者が出向くまでは手続きがストップしてしまう可能性が高いです。
金融機関は当局からの指導で、詐欺などの犯罪に使われやすい実態のない法人の口座を開設してしまうことに慎重になっているので、代表者が直接窓口で説明することが手続きをスムーズに進めるコツです。
必要な書類を揃えて申し込む
口座開設に必要な書類は、金融機関ごとに多少異なるので、事前に電話かホームページで確認してから行くのが効率的です。
書類が不足している場合、「まあ、いいでしょう」となることはまずなく、補完するまで手続きはストップしてしまいます。
前述したように、金融機関ごとに多少異なりますが、一般的には次のようなものが必要です。
- 履歴事項全部証明書(いわゆる法人の登記簿謄本)
- 定款
- 法人代表印
- 銀行印(法人代表印と同じ印鑑を使うなら不要)
- 法人の印鑑証明書
- 代表者の身分証明書(運転免許証など)
- 税務署に提出した「法人設立届出書」の控え
- 税務署に提出した「給与支払事務所等の開設届出書」の控え
7、8の書類を必要とする金融機関では、税務署に先に届出を行っておかないと口座が開設できません。
したがって、法務局へ法人の設立登記申請→登記簿謄本を入手→税務署へ法人設立届の提出(その際、控えに収受印をもらう)→口座開設申し込み、の流れで手続きを行います。
場合によっては、他の金融機関にあたる
法人から最寄りの支店へ申し込みに行き、きちんと言われた書類を提出すれば大抵の場合は口座を開設できますが、まれに断られてしまう場合もあるようです。
定款記載の目的に、何かまずいものがあったのかもしれませんし、代表者の説明に何か不安になる点があったのかもしれませんが、尋ねても基本的に断った理由は教えてくれません。
もしそうなってしまった場合、一つの銀行にこだわっても無駄に時間がかかってしまいますから、他の金融機関にも申し込みに行って、すぐに口座開設してくれるところから取引を始めるのがよいでしょう。
地元の信用金庫や信用組合だと、出資金(数万円程度)は必要ですが、断られたという話はあまり聞きません。
最初に断られた銀行でも、基本的には事業実態のある法人かどうかを気にしています。他の金融機関で取引を始め、売上金の入金があるなど、きちんと事業を行っている法人だと証明できれば、後からでも口座を開設してくれるでしょう。